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ハブラボ 生きる力 学のその先へ

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ハブラボ冊子

What's ハブラボ

ボーダーレスなアトリエ

インクルーシブの実践を目指して

ハブラボは「なにつくる?」を合言葉に企業廃材と 自由な発想でアートを楽しむ、子どもたちのアイデア 実験室です。障がい・年齢・性別を超えたボーダーレ スなアトリエとして2020年7月にオープンしました。  障がいや難病を持つ人たちの就労の場でもある「あ りがとうファーム」で働くメンバーが中心となって講 師をつとめ、子どもたち、学生、企業、多様な人が交 じり合いながら誰もが参加できる場を作っています。  出来ないことは一緒に考え、出来ることには手を貸し 合う、そんな交流が自然に生まれる手段としてアートを 活用しています。自主性と協調性を伸ばし、心にバリア のない共生社会を担う人を育てることを目指しています。

ハブラボの要素

子どもたちのアイデア実験室であるハブラボは「アート」「 レッジョ・エミリア」「 インクルーシブ」3 つの要素を取り入れ、岡山市表町商店街の中で、県内の企業より排出される廃材を活用しながら、 地域に根差した取り組みを実践しています。 「子どもたちが子どものうちに、 障がい者や多様な人々、社会に触れ合う機会をつくっておくことで、 将来、 その子らが大人になった時、より良い社会をつくってくれるのではないか。 との想いから始まりました。 コツコツ、一歩一歩。 大人の社会実験、ひそかな願いを託す場でもあります。

1. アートをハブに

 ハブラボ講師の中心は、日頃からアート活動を行っているあり がとうファームのメンバーたちです。アートは自己表現ツールで もありますが、コミュニケーションのツールとしても万能。なに より楽しくて自由です。意志を伝えやすく、才能や成長が実感で きるので、スタッフの得意分野と子どもたちの想像力が化学反応 を起こして、ハブラボは毎回新しい発見の連続となっています。
 また、地元の色々な企業から提供を受けた廃材をアートの素材 として活用し、地域に根ざした社会循環が生まれています。アー トの力が、子どもたち、障がい者、参加している企業や地域、人 をつないでいます。

2. レッジョ・エミリアアプローチ

 「レッジョ・エミリア・アプローチ( 以下= レッジョ)」はイタ リアで生まれた幼児教育実践法です。「100の言葉」に象徴さ れる理念では、百とおりの子どもには百とおりの考え、個性があるとし、子どもの表現力や能力、探究心、考える力などを養う為のプログラムが工夫されています。
 ハブラボではレッジョの手法を応用し、子どもたちの意思・考 え・アイデアが、いつも尊重される場所でありたいと考えています。 子どもたちの瞬発力と、アイデアにハラハラドキドキ。スタッフ が試行錯誤を重ねながら、誠心誠意のサポートを実践しています。

3. インクルーシブ教育

 昨今注目されるインクルーシブ教育とは多様性を尊重し、障がいの有無に関わらず共に学ぶ仕組みの事です。ハブラボスタッフの多くは障がいを持っていますが、実際に参加する子どもたちは、そのことについて、気にしている様子はありません。そんなことより、作品制作に没頭し、ただ、その時間を楽しんでいるように見えます。ありがとうファームのスローガンは「知ることは、障がいを無くす。」。大きくなって、「やさしい先生だったな」とか「一緒に笑ったな」と振り返ってくれた時、真の意味での障がい者理解に繋がってくれることを願います。

宝物の部屋

想像力と社会循環が生まれる場所
ハブラボに活用される材料は 全て地元企業から提供を受けた 廃材です。日頃からありがとう ファームのアート作品やアー ティストの活動に共感してくだ さっている企業さんに声をかけ ると、「うちだったらこれあるよ」 と。そんなうれしい輪がどんど ん広がり、あっというまに充実 した宝物の部屋になりました。
 廃材を使うアイデアは、レッ ジョ・エミリア市にあるクリエ イティブリサイクルセンター「レ ミダ」という素材倉庫を参考にしました。世の中で余剰なもの や不要なものと思われているゴ ミや廃棄物が、「何ものにも代え 難い価値」をおび、コミュニティ や地域をゆるやかにつなぐ潤滑 油になります。
 
 企業が関わることで「こんな 仕事があるんだ」「こういう場所 で働く人がいるんだ」など、子 どもたちが企業を知るきっかけ にもなり、企業側も捨てていた ものがアート素材として活用さ れている姿に驚き、おもしろがっ てくれています。
 廃材とアートをハブに、ハン ディキャップをもつ人と子ども たち、そして企業が関わること によって、自然な形で、持続可 能なまちづくりをしていきたい と考えています。

ハブラボのゆかいな先生たち

その子がその子らしくいるのを見ることが嬉しい。
来た子に対してなにができるかな
というのを、コツコツやってる。

 ハブラボは、工具も刃物もぼっけぇ自由に使ってもらえるんですけど、今まで誰も大き い怪我はしていないというのが僕にとって一 番重要なことです。やっぱりケガについては、一番神経を使います。
 恐竜を作るのが得意な子がいるんですけど、彼はここで初めて切り出しナイフを使いました。今では何も手伝わなくても、経験を積み重ねて、使う道具や作れるものが増えて、遠くから見てるだけ。それが嬉しいんです。
 僕自身の変化としても、ハブラボをはじめる前よりだいぶ明るくなったと思います。対人緊張があって、今も手が震えるということはあるけれどそれをオープンでいられるようになりました。子どもに「手ふるえとるよ、なんで?」って聞かれても「僕もなんでか分からんけど震えるんよね。」って。子どもも、「ああそうなん﹄って、結構、あっさり言っ てくれるんで、僕も逆に「あ、こんなんでいいんだな」って思えてきました。最初は、どんな人が来るんだろうとか、すごい不安の連続でしたが、「考えても、子どもたちが何を作りたいかなんて分からんし」と開き直ると気持ちも軽くなって、今では「さあ、何作ろうか」って明るく迎えれるようになりました。

子どもたちは多分、 家で色々注意を受けてる。
ハブラボではできるだけ ダメって言いたくない。

 子どもたちの想像力からは自分の制作においても影響を受けまくっています。「こんな発想あるんだ」。「何を作っているか分からない」っていう状況がとにかく楽しいです。
 私は学校になじめずに家でずっと絵を描いていました。私、男と女の区別があんまりついてなくて、男も女も全員仲良くすればいいのにって、すごい苦しかったです。ハブラボではみんな仲良いのが 楽しいんですよ。今まで通りの子どもたちも、不登校の子たちも、もっと来てほしいと思ってます。

子どもの言ったことをきちんと受け止めて
承認欲求に答えたい。
自己肯定感を高めてあげたい。

就職がうまくいかなくて悩んでいた時、あ りがとうファームを知り、ハブラボに参加す るようになりました。ハブラボでは、子ども の希望通りのことを叶えてあげたいと思って います。ここなら大丈夫という場所で、守っ てもらえたっていうことがその子の支えに なって、これから先も前へ、前だけじゃなく てもいいんですけど、立ち止まっても、子ど もたちの背中を押せるような場所になればと 思っています。自分が楽しいっていうよりは、 とにかく子どもの希望に答えたい、という責 任感を強く感じています。

ハブラボkids 保護者 VOICE

「やってみよう」とすることが 増えた気がします

ブルックス雅美さん

 今回で3回目です。前回も前々 回も、いろんな物をつくれるって いうのが、すごく楽しくてチラシ を学校でもらってきたとたん「参 加したい!」となりました。
 昨日、駅の方でやっている美術 展に行って、発想がわいてきたみ たいです。今日に向けてアイデア を練っていました。
 ハブラボに来るようになって、 どんどん、「自分がつくりたいのも のがつくれるんだ」と、思えるようになってきたと思います。できない ものができるようになってきた。「やってみよう」ということが増えたよ うな気がします。
 お父さんに見せたり、壁に絵をかいた写真を知人に送ったり、見せに 行ったりして彼女のたち成感を垣間見ています。学校でチラシをもらう のをとにかく楽しみにしているようです。

初めて触れる道具、広がる世界

長信 裕美さん

 企業廃材を使ってるという活動に私 が興味をもって連れてきたのが始まり です。もう数えきれないぐらい来てい ます。来ていなかったらどうなってた かがちょっと分からないんですけど、 ここに来て初めて触れた素材もあるだ ろうし、特に道具は、私が扱えないも のがいっぱいあります。家ではマスキ ングテープと、段ボールの余ったもの とかをチョキチョキ切って貼る程度 だったんですが、ハブラボでは張り付 ける素材もいっぱいあるし、材料を切 る道具も違いますよね。
 息子は、小さい頃から生き物・恐竜は興味があって、骨を発見し、そ れに名前を付けたいっていうのが夢らしいんです。なので、ハブラボで は恐竜をつくる事が多いです。ここに来てなかったら、まさか木で恐竜 の骨は作らなかったと思うんです。学校では「危ない」という理由で使 わせてもらえない、道具や木や削り方などを教わって、彼の世界はだいぶ広がったんじゃないかと思います。

引っ込み思案の子にもたくさんの刺激をもらっています

池田多賀子さん

 家では揃えてあげられない廃材や 素材がいっぱいあって、例えば、ボ コボコしたプラスチックとか、そう そういうモノから着想が引き出され る環境がハブラボにはあると思いま す。運動などで発散できる子もいる と思うんですけど、息子はモノを作 ることで、自分の空想の中でのめり 込んで発散するタイプなので、「モノづくり」に触れる機会を与えてやり たいと思って参加させてもらっています。
 先生がコロコロ変わらないので、シャイな子でも、半歩づつではある けど、歩み寄っている気がします。いろんなお子さんが来られる場所だ から、人がやっている姿を見て、あれをやってみたかったという課題を 持って帰ってくる事があります。「すごい大きな木のものを作っているお兄ちゃんがいた。次は僕もあれをつくってみたい」となるのも、異年齢のお子さんがいらっしゃる場所の良さだと思います。最初、緊張はするんですけどね。いろん な人々に触れて刺激をもらえる機会になっているようです。

「ただいま」といえる 場所なんだと思います

荻原涼子さん

 もう15回くらいきていると思います。家にない道具や素材で、自分で作りたいものをとにかくワイワイ作れる事を楽しんでいるようです。 私は2回目くらいから、「どっか行ってて」と言わ れるようになったので、ハブラボへ送ってから、街でお買い物して、も うすぐ終わるかなというタイミングで迎えにきます。私がいない方がの びのびできるんでしょうね。家ではその日にあった事、友たちの作って いたものなど、楽しそうに話してくれます。そして、すかさず「次いつ?」と。
 先生はみんなやさしくて、申し訳ないくらいフレンドリーに接しても らっています。「ただいま」という感じ で本人はいるんだと思います。あそこに 行けば、味方になってくれる人や仲間が いて、自分のやりたい事ができるみたい な感じ。  実は、来月他県に引越しをするんで す。今日が最後の参加。でも本人は、「ど うにかして来れないか」って。そのぐら い、この場所を気に入っているようです。 引っ越し先の近くにも、こんな場所があ ればいいんですけどね。

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